国「自分に逃げる道はつくらない」という不退転の決意

あれこれ考えた挙句、マイナスともいえる先の三つのマンションの特徴は、考え方次第でそのままプラスにできると思うようになりました。まずは、同じ建物にオーナーが住んでいること。これは、考えようによっては入居者に安心材料として提供することができます。たとえば不審な人が出入りしていても、オーナーがその場にいれば、何らかの対策をすぐに講じることができるでしょう。また、後ほど詳しく述べますが、住まいに何らかの不具合が起きて修繕が必要になったときなども、オーナーがいち早くそれに気づき、対処することができます。オーナーが同じ館内にいるということは、生活していくうえでの安心面・安全面を保証していけるメリットがあるわけです。オーナーが同じ建物に住んでいる
からこそできる管理をしよう。それは何かと考えました。管理規模が大きいということも同様です。裏を返せば、それだけスケールメリットがあるということです。たとえば却戸のエアコンなどの設備を揃える場合、もちろん支出額そのものは大きくなりますが、3戸の賃貸物件に比べて割引額も大きくなるでしょう。1戸当たりの単価を安く抑えることが可能になるのです。また、賃貸物件そのものが今より少ない時代でもありましたから、仲介業者は規模の大きいマンションということで熱心に仲介業務をしてくれます。この地域でマンションの名前を聞けばすぐに、「ああ、あそこね」とわかってもらえるくらいネームバリューを持ちたかった私は、このスケールを大いに活かそうと考えました。加えて、女性であるということは、男性オーナーが多いこの業界において、それだけ女性の感性を活かせる場であるともいえます。建物はピンクと白の混ざったタイル張りなのですが、それ一つ取ってみても、数多ある物件とは「何か違う」と思ってもらうことにつながるのではないでしょうか。また、女性が1人で入居するときなどは、ご両親はやはり心配でしょう。そんなとき、私のような年配女性がオーナーですと、安心してもらうことができるのです。「この人が大家さんならウチの娘を預けても大丈夫そうだわ」と、安堵される方も実際にいました。これは「女性の特権」といえるかもしれません。実を言、っと、ちょうどマンションが竣工するほほ同時期、主人の知り合いの奥様がマンション経営を始めて、うまくいかなかったということがありました。私にとっては他人事ではありません。誰もバブルが崩壊するなどとは想像もせずにいたのですから、他人は「時期が悪かったよね」「女性にはやっぱりむずかしいんじゃないかな」などと勝手な憶測や慰めをして終わりです。でも、私の場合、それを聞いて「自分は何が何でも軌道に乗せよう」と思いました。もうすでに経営することは決まっているのです。それなら、「無理かな」「無理でも仕方ないよね」と感じながらやるのではなく、「絶対にうまくいく方法を考えなければ」という思いでいっぱいでした。しかも銀行から借入れをする際、息子たちに連帯保証人になってもらっています。もし私がここでつまずいたら、私たち夫婦だけでなく息子夫婦まで巻き込むことになります。それだけは絶対に避けなければなりません。私に必要なのは、「仕方ない、残念だったね」と慰めてくれる人ではなく、「どうしたらうまく経営していけるか」を示唆してくれる人です。とはいっても、人の意見は参考にはなっても一つひとつのケlスは異なるものです。結局、手探りで舟を漕ぎ出して、それが沈みそうになっても、最後は自分で乗り切らなければなりません。それならば、やはり自分で、どうすれば舟が前に進むかを考えなくてはならないでしょう。だからこそ、いかにしてマイナス面をプラスに活かしていくかが必要になるのです。また、これは自分で逃げ道をつくらないための方策でもありました。マンションの特徴にしても時勢にしても、マイナス面ばかりだと感じていれば、経営がうまくいかなくなったときの言い訳になります。それだけは、したくありませんでした。マイナスをプラスに変えていく発想の転換と努力。それは、ちょっと格好つけた言い方をすれば、私にとって「不退転の決意」でもあったのです。マイナスをプラスに変えるという考え方以外にも、自分の建物、自分自身の特徴は何か考えてみてください。こぢんまりとしているけれどセンスがいいとか、いわゆる日曜大工が得意とか、植木、草花の手入れが好きとか、何かあるはずです。それらをご自身のアパ
マンの特徴にされるとよいのではないでしょうか。

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