宅建と簿記の資格

主人やその妹たちがマンション建築の相談を始めてから、私は何とか自分でやっていけるようにと勉強を始めました。宅地建物取引主任者(宅建)の資格取得を目指したのです。専業主婦をしている聞に、実は簿記2級を取っていました。子育ても一段落したときで時間はいっぱいありましたから、主人に相談したところ、「簿記は知っているといいから、チャレンジしてみれば」と賛成してくれたのです。もともと、私は数字というものが好きなんです。ガチガチの理系というわけではありませんが、昔から数学も得意でした。基本となる公式がわかっていれば、答えがしっかり出るでしょう。「1+1H2」と決まっているわけです。これは性格なのかもしれませんが、何でもそういう具合に答えが白黒ハツキリしているもののほうが好きでした。当時はマンシヨンのオーナーになるとは考えてもいません。ですから、趣味の延長のような具合で、通信教育で簿記の資格を取ったわけです。それから、実際に自分がマンション経営をすることになって「もう少し勉強しておく必要があるな」と思い、宅建の勉強をするため専門学校に通い始めました。建築の打合せをけんべいりつするときでも、建蔽率や容積率といった専門用語がまったくわからないのでは話にならないと考えたからです。最初は資格を取るつもりはなかったのです。「知識が得られればいいかな」という軽い気持ちでした。でも、その当時は「不動産をやれば儲かる」時代でしたから、不動産関係者や銀行に勤めている方が熱心に受講していました。皆さん、模擬試験を受けながら一生懸命に資格取得を目指しています。そんな雰囲気に影響されて、私も試験を受けることにしたのです。幸いにも、一度の受験で合格することができました。とはいうものの、私の実力が秀でていたわけではありません。この年は試験の内容がガラリと変わって、平均点が前年よりかなり低かったのです。私もその低い部類に入っていましたから、最初は「落ちた」と思いました。主人や友人たちに「残念だったね」と、慰労会までやってもらったほどです。ところが、全体の平均点が低いことがわかり、合格ラインが下げられました。そこで、私も何とか合格したという具合です。合格率はロ%くらいということでした。そんな状態ですから決して自慢できたものではないのですが、その後の打合せやアパマン経営にかかわるようになってから、随分と学んだ知識が役立ちました。勉強していて良かったなと心から思います。また、資格を取ったことで、周りの私を見る目も変わってきました。建築業者や不動産業者などのプロから見れば、私はただの専業主婦でしかありません。でも、宅建の資格を持っていることがわかると、「この人は建築の流れがわかっているんだな」「専門的なことを話してもわかってもらえるな」と思ってくれます。こちらも自信を持って応対することができました。もし、何も知らないまま経営に乗り出していたら、いつまでも及び腰で「素人」の域から出ることはできなかったかもしれません。これからアパマン経営を考えている方は、ぜひ簿記と宅建の勉強をお勧めします。何となく経営を始めて、不動産のことが「わかったつもり」でいても、それではいざというときに応用が利かないからです。たとえば、「減価償却」という言葉があります。これは、取得した資産(建物や大きな機械設備など)を、使用する年度ごとに一定の方法で償却していく会計処理方法のことです。このことは何となくわかっても、なぜそれが必要なのか、どうしてそれをしなければいけないのか、それをすることにどんな意味があるのか、そうしたバックボーンまで理解していないと、償却方法の制度が変わるときなどにこんがらがってしまいます。アパマンに限らず、経営には財務の知識がどうしても必要になってきます。「なぜ」「どうして」という探究のない、表面上の言葉尻や基本的なテクニックだけでは、真の理解につながらないのです。その代わり、基本的なバックボーンがわかってさえいれば、応用はいくらでも利きます。「そうか、この数字はこの支出と連動しているものなんだな」「それなら、この金額を抑えれば節税につながるのでは」といった具合に、安定経営や節税のためのシナリオを描くこともできるわけです。「なぜ」がわかると、「それなら次はこうしてみたらどうだろう?」と、別の角度から数字を検証していくことも可能になります。数字や数学のおもしろさはここにあります。皆さんの中には、数学が苦手という方もいるでしょう。もしかしたら、数字の羅列を見ただけで拒否反応を起こしてしまう人もいるかもしれません。でも、アパマン経営を安定したものにするには、他人の力を借りつ時でも、賃貸経営の判断をするのは自分ですから財務の知識を持っておくことが何より大切です。そのためにも、最低限、簿記や宅建の勉強をしていただきたいと思います。もしかしたら、そのおもしろさに目覚めるかもしれません。苦手でも、まずは始めてみることです。

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