ざわめく近隣説明会で会場を-瞬シーンとさせたひと言

私は、基本的には温厚で気が長いほうだと自分では思っています。建てる前に、一度だけ声を張り上げたことがありました。それは、地元住民への近隣説明会が行なわれたときです。建築中の建物の高さがmm以上の場合などは、近所の公民館や市民センターなどの場所を借りて、近隣の方々への理解を求めていかなくてはなりません。もっとも、これは建築会社が中心になって行ないます。私たちの場合、ある程度近隣の方とは長いお付き合いがあったので、「安藤さんがつくるんだから、そんなに心配することはないでしょう」と、近隣の住民の方々はほとんどが建築を支持してくれました。ところが、中には反対する人もいました。5階建てではなく、もっと低いマンションにしてくれというわけです。もちろん着工する前に建築確認申請を行ない、きちんと通知書をもらっています。法規上は何ら問題がないのですが、それでも納得できないという方がいたのです。このため、説明会の会場は、全員が諸手をあげて賛成するという雰囲気ではありませんでした。主催している建築会社の方は、反対意見に対して、丁寧に何回も何回も、噛んで含めるように説明されていました。自分の対応いかんによっては、建て主にも会社にも大きな影響があり、その責任を担っていることを十分認識されていたからでしょう。参「加された方はml却名ほどでしょうか。次第に険悪な雰囲気になり、ざわつきは治まりそうにありません。しまいには「行政に訴える!」と言い出したのです。それまで私は黙って聞いていたのですが、必死で話している建築会社の人が気の毒にもなり、また、この場を収拾できるのは建て主しかいないと思い、度胸を決めました。たんかそこで、ついに峡阿を切ってしまったのです。「大家にだって、生きる権利があるんです!どうぞ、行政に行って十分説明を聞いてください。私は、この地区にプラスになるものを建てます」もし周りに反対されてマンションを建てることができなければ、私たち夫婦は莫大な相続税を払うことができず、路頭に迷うことでしょう。何も法律に違反したものを無理やりつくろうとしているのではありません。どうして理解してもらえないのか。そんな思いが
交錯して、つい出てしまった言葉でした。外見も穏やかそうな(と私自身は思っています)女性が声を張り上げたのですから、会場にいた方々は本当に驚いたと思います。会場は一瞬、シーンとなりました。今では、驚かせてしまって申し訳なかったと思っていますが、当時はそれを言うだけで精一杯でした。でも、この一件があって近所の方が理解ある発言をしてくださいました。「私は建築関係の仕事をしていますが、安藤さんのマンションは近隣に随分配慮された建物ですよ」この方の一言は大きかったですね。後で行政の方に、「ウチの建物のことで苦情を言いに行かれた方、いらっしゃいます
か?」と聞きましたら、「ああ、来ましたよ」とさらりとおっしゃいました。行政の意向にも添った、不燃化と緑化に力を入れた設計にしていましたから、上手に説明してくださったのでしょう。マンション経営には、どんな障害が出てくるかわかりません。何も後ろめたいことがないならば、言いたいことは言うべきときにきちんと言う、そんな勇気も必要だと思います。説明会が無事終わったとき、建築会社の人たちが「これで半分建ったと同じだ!」と、皆一様に安堵の言葉を口にされたことからも、この近隣説明が建築前の大きな難所だったのを肌で感じました。

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